トレーニングを始めた頃は、少し運動するだけでも筋肉痛になったり、体重や見た目に変化が出たりした。
でも、数ヶ月続けているうちに、
「最近、あまり身体が変わらなくなった」
「ちゃんとトレーニングしているのに、前ほど手応えを感じない」
そんな感覚を持つことはありませんか?
前回の中級者ステップアップ講座では、停滞期は「失敗」ではなく、身体が今の運動や食事に適応している可能性があるというお話をしました。
では、身体が今のトレーニングに慣れてきたとしたら、どうすればいいのでしょうか。
そこで必要になるのが、トレーニングの**「小さな調整」**です。
身体を変えるために、いきなりトレーニング時間を倍にしたり、限界まで追い込んだりする必要はありません。
むしろ中級者になってきたからこそ、
「もっと頑張る」から「少し工夫する」へ。
今回は、身体を次のステップへ進めるためのトレーニングの考え方をご紹介します。
身体は、同じ刺激に少しずつ慣れていく
トレーニングを始めたばかりの頃を思い出してみてください。
10回スクワットをするだけでも脚が疲れたり、翌日に筋肉痛になったりした人もいるのではないでしょうか。
ところが、それを何週間、何ヶ月と続けていると、同じ10回でも以前ほど大変ではなくなってきます。
これは悪いことではありません。
身体がトレーニングに適応し、以前よりその運動をこなせるようになった証拠でもあります。
しかし、ずっと同じ重量、同じ回数、同じセット数でトレーニングを続けていると、身体にとってその運動が「いつもの刺激」になっていきます。
だからこそ、ある程度トレーニングを続けてきた中級者には、今の自分に合わせて内容を少しずつ調整していくという考え方が必要になってきます。
「変わらない=もっとやる」ではない

身体の変化が止まると、
「トレーニングが足りないのかな?」
「もっと回数を増やそう」
「もっと重いものを持たないと」
と考えてしまいがちです。
もちろん、トレーニング量や負荷を見直すことが必要な場合もあります。
ただし、毎回トレーニング量を増やし続ければいいわけではありません。
疲労が溜まり、フォームが崩れてしまえば、思うようにトレーニングできなくなることもあります。
大切なのは、
「もっとやる」ではなく、「今の自分には何を少し変えればいいのか?」と考えること。
ここが、トレーニング初心者から一歩進むための大切なポイントです。
小さな調整① 重量を少しだけ変えてみる
分かりやすい調整方法のひとつが、扱う重量です。
例えば、以前は10回やるのがギリギリだった重量なのに、今では余裕を持って10回できるようになった。
それなら、少しだけ重量を上げてみるタイミングかもしれません。
ただし、ここで大切なのは**「重ければ重いほどいい」という考え方ではない**ことです。
重量を上げたことでフォームが大きく崩れたり、狙っている筋肉をうまく使えなくなったりしては本末転倒です。
正しいフォームを維持できる範囲で、少しだけ負荷を上げてみる。
そのくらいの変化でも、身体にとっては新しい刺激になります。
小さな調整② 回数やセット数を変えてみる
重量を変えることだけが、トレーニングの進歩ではありません。
例えば、
「前回は10回できたから、今日は11回を目指してみる」
「いつも2セットだから、今日は3セットやってみる」
これも立派な調整です。
特に中級者になると、
「何kg持てたか」だけではなく、「前回より何ができるようになったか」
という視点が大切になります。
重量が同じでも、以前より1回多くできた。
同じ回数でも、余裕を持ってできるようになった。
それも身体が成長しているサインです。
いきなり大きく変えようとせず、前回の自分をほんの少し超えることを意識してみましょう。
小さな調整③ 「動作の質」を変えてみる
意外と見落とされやすいのが、トレーニングの**「質」**です。
例えば同じスクワット10回でも、勢いを使って素早く10回行うのと、一回一回フォームを確認しながら丁寧に行うのとでは、身体への刺激の感じ方も変わります。
ゆっくり下ろしてみる。
可動域を意識してみる。
反動を使わずに動いてみる。
狙っている筋肉を意識してみる。
重量や回数を変えなくても、こうした部分を意識するだけでトレーニングの質を見直すことができます。
「何回やったか」だけではなく、「どうやったか」に目を向ける。
これも中級者にぜひ持ってほしい視点です。
小さな調整④ 休憩時間もトレーニングの一部
セットとセットの間に、どのくらい休んでいるでしょうか。
なんとなくスマートフォンを見て、気づいたら長く休んでいた。
反対に、「休んだら効果がなくなる気がする」と、ほとんど休まず次のセットへ進んでいる。
どちらも一度見直してみてもいいかもしれません。
休憩時間も、トレーニングを構成する大切な要素のひとつです。
しっかり休むことで次のセットでも質の高い動作ができることもあれば、トレーニングの目的によって休憩時間の考え方が変わることもあります。
休むことは、サボることではありません。
次のセットをしっかり行うための準備時間と考えてみましょう。
「前回の自分」を基準にしてみよう
では、自分のトレーニングをどう調整すればいいのでしょうか。
そのヒントになるのが、**「前回の自分と比べる」**ことです。
周りの人が何kg持っているか。
SNSで見た人が何回やっているか。
そこを基準にする必要はありません。
見るべきなのは、自分自身の変化です。
前回より1回多くできた。
少し重量を上げられた。
同じ重量でもフォームが安定した。
以前より疲れにくくなった。
こうした小さな変化を積み重ねていくことが、長期的な身体づくりにつながります。
そのためにも、重量や回数、セット数などを簡単に記録しておくのもおすすめです。
「今日は何をやったか」を残しておけば、次回のトレーニングで何を少し変えるのか考えやすくなります。
毎回すべてを変える必要はない
ここまで読むと、
「じゃあ毎回、重量や回数を増やさなければいけないの?」
と思うかもしれません。
もちろん、そんな必要はありません。
体調が良い日もあれば、疲れている日もあります。
仕事が忙しかった日、睡眠が十分に取れなかった日など、身体の状態は毎日同じではありません。
そんな日に無理をして「前回より重く」「前回より多く」と考える必要はありません。
大切なのは、短期間の一回一回だけを見るのではなく、少し長い目で自分の成長を見ることです。
調子が良い日は少し挑戦する。疲れている日は無理をしない。
そうやって自分の状態に合わせて調整できることも、トレーニングを長く続けていくための大切なスキルです。
「頑張る」から「考えて続ける」へ

トレーニングを始めたばかりの頃は、まずジムへ行くこと、身体を動かすこと、習慣にすることが大切です。
しかし、それを続けられるようになったら、次のステップがあります。
それが、
自分の身体の変化を見ながら、トレーニングを調整すること。
ただ回数をこなすだけではなく、
「前回より余裕があるな」
「今日はフォームをもっと意識してみよう」
「そろそろ少し重量を上げてみよう」
そんなふうに、自分の身体と対話しながらトレーニングできるようになると、運動との付き合い方も変わってきます。
まとめ
身体の変化が止まった時、必要なのは必ずしも「もっと頑張ること」ではありません。
身体が今のトレーニングに慣れてきたのであれば、重量、回数、セット数、動作、休憩時間などを少しだけ見直してみましょう。
大きく変える必要はありません。
前回より1回多く。
ほんの少しだけ丁寧に。
無理のない範囲で、少しだけ重く。
そんな小さな調整でも十分です。
身体づくりは、毎回限界まで自分を追い込む競争ではありません。
「前回の自分より、ほんの少しだけ前へ。」
その積み重ねが、停滞していた身体を次のステップへ進めていきます。
そして、ここでもうひとつ覚えておきたいことがあります。
身体を変えたいからといって、毎回限界まで頑張ることが、本当に一番の近道なのでしょうか。
次回は、トレーニングに慣れてきた人ほど陥りやすい**「頑張りすぎ」**について考えていきます。


